今月は何も観ていないな、と思っていましたが、リアルを観ていたのですね。すみません、すっかり忘れていました。

 それで、どうにか行ける範囲の映画館(どの映画館も片道1時間以上はかかるのですが)で公開したのでいってきました「劇場版STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ」。いやはや、なんか知らないですが、ものすごく楽しく映画を観れました。自分でも不思議なぐらい楽しかったです。ここ1年以上体験したことのないぐらい楽しかった。人が私を除き3人しかいなかったというのもあるのかもしれません。思わずパンフレットも買ってしまいました。しかし、高いですね。1200円。

 ともあれ、感想はきっちり書きたいと思います。





 話はTVアニメ後の世界です。様々な世界を渡って、第三次世界大戦も、ディストピアも、大切な仲間も死ぬことはない世界へようやく到着した岡部倫太郎。しかし、たくさんの同じ時間の世界を見てきた彼はその時の別の世界の出来事のフラッシュバックに悩まされる。そんな彼を見てきた一人、紅莉栖は彼がこの世界から消えてしまうということを知ってしまい、彼を助けようとするが……。と、いったあらすじ。

 TVアニメを知っていればすんなりと入っていきます。知らない人は厳しいかといえば、これがまた難しいところ。主人公を紅莉栖に焦点を絞れば知らなくともどうにかついていけるのですが、それでももう少し説明が欲しかった。ただ、紅莉栖の可愛さはとてもいいので、ファンは間違いなく観て損はないと思います。

 たった一人、誰にも知られることのなく世界を救った岡部の苦悩はそれだけで重いものですし、ある意味新キャラクターとして十分成り立っていました。そうであるがゆえにもっと紅莉栖を主人公として重点を置いた話の流れにしてもよかったのではないか。やはり、この映画の最大の欠点は主人公がどうもあやふやになってしまっている点であろうと思います。

 そうなった理由としては序盤は岡部で視点が動いているのに話が動くところになって急に紅莉栖に視点が動いてしまうことだと思います。序盤から紅莉栖の視点で動いていればこのブレはなくなるのですが、そうしなかった理由としては、岡部の苦悩がカットされる、という欠点にもなってしまうためそうしなかったのではないか、と邪推してします。なぜ欠点になるかといえば、岡部の活躍を他の人たちは知らない、という前提があるためです。もっとも、好いていた相手が救世主でした、なんていうのでもよかったのでは、とは思いますが……。

 岡部を居続けされるため、この世界との強力な繋がりを過去の作り上げる。それは船が大海原でとどまるように下ろす錨のようなものでしょう。紅莉栖はその錨をうつかどうかで迷い続けます。なぜなら過去を改変するということはその分何かへしわ寄せをしてしまうことになるのですから。奇しくも、岡部最後、自分の身を呈したように。紅莉栖は岡部への気持ちと科学者の理性の狭間で迷い続けます。自分の気持を優先させるか、世界のあり方を優先させるか。悩み続けた結果出した結果が正しかったのかどうかはこの映画で最後まで語られることはありませんでした。しかし、少なくとも彼女の仲間はその結果を受け入れてくれるでしょう。

 時間モノにつきもののパラドックスは確かに色々出てきます。例えば、錨のポイントがそもそものディストピア発端になったきっかけよりも前にあるということ。それはTVアニメの方でも大きな影響を与えているのではないか。錨の大きさもポイントです。あまりにも大きすぎると動きが取れなくなってぜんぜん違う場所になってしまいかねないですし、小さすぎると効果がない。その点に関しては物語上では考えなくていいですが、思考実験する上では必要なことでしょう。

 同じ時間ネタのリアルよりもはるかに良くできています。なんだかんだで、アニメ映画のほうが面白いってあたりが日本っぽいといえばぽいですが。
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